初めてのDドライバ×2を制作しての感想など

プロトタイプとしてPT-DD1というダイナミックを2機搭載したイヤホンを初めて試作機とはいえ製品として制作したわけですが、感じたことなどを適当に。

【制作に関して】

まず作るのが難しかったです。ダイナミックドライバ×1機の時と比べて難易度が一気に上がる。それは開発のことではなくて、同じものを作るのが難しいということ。当初はドライバをはめ込むアダプタを3Dプリンタなどで制作しようかという考えもありましたが、結果的にはすべて手作りとなりました。

簡単な構造としては 筐体→特殊構造なリング(後ドライバの音を通すためのもの)→前ドライバ→後ドライバ設置用リング→後ろドライバ という感じです。各ドライバには 前ドライバにはアルミの前蓋+ネオジウムマグネット+フィルタ、後ドライバにはドーム状の前蓋+ドライバ+フィルタ という改良を施しています。

特に後ドライバの設置がわずかにでもズレたりすると低音の量感が変わったりするのと、前ドライバとつながるケーブルもあるため隙間などが生じやすく難易度は高くなる。

【音に関して】

おおよそ狙っていた音は出せたかと思いますが、改善の余地はまだ多いというのが本音。
ダイナミック2機というのは実は鬼門だと思っていて、あまりD型2機で「おぉっ!」というイヤホンに出会った記憶がない。どれも「うーん…」な感じが多いイメージです。
また、ダイナミック2機で出す音のイメージというのもあって、2機搭載している意味を見出す音作りにしようとすると、そこそこインパクトのあるものになってしまいがちです。2機あるのに大人しい地味な音だったら「これダイナミック2機使ってる?」となるわけです。
ある程度特徴的な音色を出すのが「ダイナミック2機」使っているのをわかり易く伝えることができると思い、第1弾は微妙にチューニングを変えて3種作りましたがどれもある程度インパクトのある音になっている。それはつまり音のメリハリだったり、適度な刺激、ピーク、アタックなどであり、とらえ方によってはキャッチーな音色にもなってしまうということ。
特に最近は8-634、3-634、9-634とピークを抑えて聴きやすい音色というのを重点的に作ってきて耳も慣れていたので、「ダイナミック2機を使った音」というものをどう仕上げるべきかとても悩ましいものでした。

wpid-IMG_20170721_224232_885.jpg

【改善点など】

・筐体の大きさ、重さ、形状、構造
2つのダイナミックドライバを使うことで重さもそれなりに重くなり、筐体も大きくなります。なんとかコンパクトに収めたいのですが木材を限定して薄く削るなどの工夫が必要かもしれません。こういう大きくて重さもあるものこそ耳かけタイプでShureなどのような耳に収まる筐体だとイヤホン本体が動きにくくていいのですが、ドライバが縦配置なのでどうしても耳の外側に向かって長くなるのと、ケーブルの耳かけが好きではないので今のような形でなんとか少しでもコンパクトなものを目指そうと思います。
また、ドライバの制振がうまくできていません。これはドライバの固定方法によるもので、前ドライバと筐体の間から後ドライバの音を通さねばならないため筐体との接地面が通常より少なく、周りを囲うことが難しく構造上いつものようにはいきません。後ドライバも接地面がドライバの前部分だけのため通常のような制振構造がとれません。
ここは工夫が必要で今現在いくつか案をテストしているところです。制振で音がだいぶ違いますからね。ダイナミック型の重要な部分です。

・音漏れ
ドライバが2個になったせいもあってか音漏れが激しい。かといって背面のメッシュを閉じるわけにはいかない。なぜならドライバが2個あるために後ドライバが筐体の後ろ部分までギリギリに来ていて背面の空間がない。音質を考えたら背面は開けたいわけです。ですが音漏れは過去に作ったイヤホンのなかで一番大きい(笑)
そこに関してはひとつ前の記事にあります「遮音・吸音材」というものでかなり軽減できることが実証できました。なので完成版では音漏れは心配するほどではないと思います。普通の一般的なダイナミック型くらいには抑えらえるでしょう。

・音
音の方向性的なものは基本的には最初のダイナミック×2機なので「D型×2機らしい」音という意味で、プロトタイプで作ったものの方向で行こうと思います。ただし、音のピークや雑さなどは改善する必要があると思っています。
また、購入された方の感想では、アタックの強い音が好きな方と、4や3や9などのような中低域に重点を置いたイヤホンが好きな方で大きく好みがわかれるところで、同じドライバ構成で最終的に2種作るというのもアリかと思っています。

————————————————————

こういった新しい試みのときにプロトタイプにご協力していただいて、複数個を実際に作ることができるのは本当に大きい。テストで1,2個作るのとはわけが違う。実際に何個も作ってみて初めて分かることが多かったです。しっかりと完成品を作ってお礼をせねば…
そんなわけで色々と問題の多いダイナミック2機ですが、しばらく開発と改良を重ねて完成品まで持っていきたいと思います。
まだ納得はしていませんが、ダイナミック2機の前後配置タイプとしては悪くない音だと思います。もうプロトタイプを購入することはできませんが、気になる方は完成品をおまちください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

PAGE TOP